「地味な補強」が低評価につながったか
2019年J1開幕前に最も下馬評の低いチームと位置付けられたのが松本山雅だった。大方の順位予想は最下位か17位。戦力判定もA~E5段階のE評価をされるなど、「J2降格候補筆頭」という見方が大勢を占めた。
それは今季開幕前の戦力補強によるところが大だったのではないか。今季に向けて山雅が獲得した新戦力は、ジェフ千葉と徳島ヴォルティスでそれぞれエースナンバー10をつけていた町田也真人と杉本太郎、湘南ベルマーレで杉岡大暉の控えに甘んじた高橋諒、J1プレー経験のない服部康平(前栃木)など、J1で目立った実績のない選手が多かったからだ。
柏レイソル時代にレギュラーを張っていたエドゥアルド(前川崎)や大型ブラジル人助っ人FWレアンドロ・ペレイラは期待値が高かったものの、一般的には地味なイメージが強かったのかもしれない。
しかし、就任8年目の知将・反町康治監督が自らこの補強に関わったのは事実。「隠れた逸材」と位置付け、チームに加えた新戦力を指揮官がどう使いながら勝てる集団を作り上げていくのか。そこは大いに注目される点だった。2月9日の大宮アルディージャとのテストマッチではいいところなしに終わり、不安要素が大きかっただけに、前評判の低さを覆すことが、23日の開幕・ジュビロ磐田戦での至上命題だと目された。
実際に磐田戦と今季初戦を戦った山雅の印象は決して悪くなかった。レアンドロ・ペレイラの負傷欠場によって1トップに起用された永井龍、2シャドウの前田大然とセルジーニョの凄まじいハイプレスは相手の攻撃を寸断するだけの十分な迫力があった。