リージョ監督が新シーズン開幕で目指したもの
記者会見はさながら「白熱教室」のようだった。ファン・マヌエル・リージョ監督が熱のこもった口調で語る言葉は示唆に富み、戦術の講義を受けているかのよう。10分強だったと記憶しているが、時間が許すなら気になることをもっと聞いてみたいと好奇心を掻き立てられた。
22日に行われたJ1開幕戦で、神戸はセレッソ大阪に0-1で敗れた。前線にはダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキの豪華“VIP”トリオが並び、山口蛍や西大伍、初瀬亮といった新加入の注目選手たちも揃って先発出場。大きな注目を集めながら、結果は振るわなかった。
神戸のリージョ監督は、イニエスタを最前線の中央で“偽9番”とも呼ばれる役割に据え、左サイドにビジャ、右サイドにポドルスキを起用した。奇抜ともとれる戦術について記者会見で問われると、指揮官として事細かにその意図について説明してくれた。
「ビジャという選手自体、そもそもあの(左サイドの)スペースからプレーを始めて得点を取るスタイルなんだ。彼に聞いてもらってもいいが、彼はあそこがそもそもの(得意とする)プレースペースで、点を取ってきた選手。バルセロナでもスペイン代表でも常に、彼がプレーしていたのはあのスペースからだった。
その中でチーム全体として目指していたのは、ビジャとポドルスキの2人で相手の5人(両ウィングバックと3人のセンターバック)を引きつけることだった。そのうえでイニエスタは今日はトップではプレーしていないが、相手のセンターバックからより遠くでプレーさせることによって、相手センターバックが常に両サイドからビジャやポドルスキが裏を取りにくる脅威に晒されながら、どうイニエスタに対応するか。その反応を見ながらプレーするのが今日の狙いだった」
ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督率いるセレッソは、3バックを採用して3-4-2-1の形で神戸を迎え撃った。キャンプでは4バックを基本に練習してきたようだが、指揮官が東京ヴェルディ時代にも採用していた、自身の戦術を最も表現しやすい形で開幕戦に挑んだのである。