アトレティコが消した人物とは
ユベントスにとっては最悪の90分間となった。ではなぜ、同クラブはここまでの完敗を喫したのだろうか。ポイントは攻撃陣の停滞にある。
アトレティコにとって脅威なのはもちろんロナウドだ。だが、同選手はあくまでストライカー。ゴール前にいてこそ存在感を発揮できる選手であり、組み立ての部分にはあまり顔を出さない。ユベントスにとっても、より高いエリアにロナウドを置くのがベストだった。
ではアトレティコは誰をピッチ上から消したのか。パウロ・ディバラだ。
先にも述べたように、ディバラはこの日トップ下の位置でプレーすることが多かった。事実、ディバラがパスを出したエリアはスタートの右サイドよりも中央寄りの方が増えていたのだ。
アトレティコにとって恐ろしかったのは、ディバラを経由してロナウドやマリオ・マンジュキッチにパスを通され、そこからフィニッシュに持っていかれること。そこだけはなんとしても避けたかったはずだ。
ディバラは自分でフィニッシュまで持っていく能力も高いが、ロナウドやその他の選手を生かせる存在であることも事実。背番号10を簡単に使われてしまうと、アトレティコからすれば厄介なものになる。
ディバラは右サイドでボールを持った際、中央を見ることが多い。左利きのため、そのほうがプレーしやすいのだろう。しかし、アトレティコはそれをすべて読み取り、中央をしっかり締め、ロナウドやマンジュキッチのパスコースを寸断した。
縦方向はF・ルイスがしっかりとコースを限定。ディバラは苦しみ、後ろに下げるしかなかった。中央へ寄ってもトーマス・パルティやゴディンらにサンドされ、自由を奪われた。シュート数もわずか1本しか放つことができず、完全にピッチ上から消されてしまったのだ。
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