日本代表クラスの主力が続々退団
何とも出入りの激しいオフだった。昨季限りで尹晶煥監督の退任が決まっていたセレッソ大阪は、1つのサイクルを終えたようだ。
山口蛍や杉本健勇、山村和也といった日本代表かそれに準じるクラスの中心選手が移籍を決断し、長くクラブを支えてきた歴戦のベテランたちも役目を終えて新天地へと旅立った。
J3に参戦するU-23チームを主戦場にしていた若手にも、期限付き移籍での武者修行を選んだ者は少なくない。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督とそのスタッフたちと共に歩む新たな時代が始まろうとしている。
退団した主力たちの抜けた穴を埋めるべく獲得されたのは、都倉賢や藤田直之、奥埜博亮といった即戦力たちだった。さらにブラジルの名門ヴァスコ・ダ・ガマで主力だったアルゼンチン人MFレアンドロ・デサバト、ブラジルU-20代表歴を持つFWブルーノ・メンデスも加わった。
彼らはすぐに結果を求められることになるだろう。もちろんロティーナ監督のチーム作りが全て順調に進むとは限らないが、ゴールまでの道筋を緻密かつ論理的に組み立てるスペイン人指揮官の手腕はすでに東京ヴェルディで証明されている。
今季のセレッソはJ1で最も読みづらいチームの1つかもしれない。ポゼッションを基本に、サイドを効果的に使いながらフィニッシュに持ち込む形に有効性を見出せれば突破口が開けるか。ただ、フィニッシャーには毎年J1で二桁得点を奪ってきたような実績のある選手はおらず、蓋を開けてみなければ成果がどう出るかわからない状態だ。
新戦力の都倉は開幕を前にしたJリーグキックオフカンファレンスの場で「昨季は(目標を)15点と言って12点しか取れなかったので、今年は20点と言って、昨年よりたくさんゴールを取れればと思います」と宣言した。もし言葉通りの結果を残せれば、エースの座は彼のもの。もちろん多くの勝利もセレッソにもたらされるだろう。
ロティーナ監督は東京V時代と同じように、ポジションごとの役割や立ち位置、判断基準などを選手たちに細かく授けた上で、状況に応じてオートマチックにチーム全体が動いていくサッカーの礎を築いていくはず。そのうえで対戦相手に合わせたプランを発展させていくだろう。
まずはピッチ上で戦う選手たちがロティーナ流の戦術をいち早く理解し、試合の中で表現できるか。その先に勝利、そして再びタイトルを争える強いセレッソが見えてくる。