次の世界への扉を開くために
85分間プレーした久保は、試合後、次のように振り返った。
「『とにかく守備的なことで、とにかく勝ち点を取ろう』っていう話でしたので、監督がやりたいことはできたかなあと思います。勝ち点を取れたので良かったですね。残留するためには、とにかく僕らは勝ち点1でも積み上げていかないといけないので、その1歩前進かなあっていう感じはします、今日は」
安堵、とまでは行かなくとも、チームの出来に、自身のパフォーマンスに、少なからず手応えを得たようだ。
「試合の最初から、守備でとにかく貢献しました。監督もそれを求めていたので、そこは応えられたかなあと思います」
この試合の結果だけを持って、久保が先発の座を再び確保した、とまでは言い切れないだろう。しかし残留を目指すチームが、守備的なサッカーを選択せざるを得ない中、ドルトムント戦でのパフォーマンスを鑑みれば、久保はショメルス監督の中で貴重な戦力としての信頼を勝ち得たはずだ。
残りの後半戦の戦い方について、久保は次のように考えている。
「このチームは、今、極端に守備を重点的に置いています。そこに自分も合わせていきながら、チャンスを伺うしかないかな、って思います。今のチームは相手によって常に戦い方を変える。それで自分がどういう役割になるかで、毎試合毎試合どういうチャンスがあるか、っていうのを考えながらやっていきたいなと思います」
目標ははっきりしている。
「チームが残留することが一番なので、そこに向かって、とにかく勝ち点を積み重ねてやっていければ、と思います」
ニュルンベルクが残留するために、全てを賭けてプレーを続ければ、自ずと次の世界への扉が開くはずだ。
(取材・文:本田千尋【ニュルンベルク】)
【了】