高かったPSGの中盤の質
組み立て役のマルコ・ヴェラッティは、1月に負傷して約3週間離脱したのち、ユナイテッド戦直前のリーグ戦で復帰したばかりという万全ではない状態だったが、彼を使わない選択肢はトゥヘルにはなかった。
彼から出される1本のパスが高い確率で攻撃の起点となるため、相手のアンデル・エレーラやネマニャ・マティッチらは前半はとくに、ぴったりフェイスガードに付くくらいの勢いでヴェラッティのパスの出しどころをブロックしていた。そのため、前半はあまり見せ場がなかったが、後半、75分に交代するまでは牙をむいたようにボールをさばきまくった。
そして、今季、人材不足もあって中盤にコンバートされているマルキーニョスは、相手の中枢、ポール・ポグバを抑え込む殊勲ものの働き。彼も相当な韋駄天な上に敏捷性にも優れているから、相手のアクションに瞬間的に対応できる。
シーズン序盤はこの慣れないポジションで批判されたこともあったが、今ではバックライン前に陣取るスイーパー的な存在として異彩を放っている。彼をこのポジションで起用したトゥヘルの眼力と指導力はさすがだ。
ディ・マリアは、予想通り、古巣のユナイテッドサポーターからボールを触るたびにブーイングを浴びせられたが、その屈辱に報いるかのように、1点目のキンペンベのゴールを導き出したファーポストへのCK、そして2点目のエムバペへの横クロスと、2アシストという結果を出した。
パフォーマンスに波があるが、やはり『出せる武器』を持っている選手というのは侮れない。
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