元セレソンは守備にも献身的
これらの発言が口先だけでないことを、彼はすでにピッチ上で証明している。1トップに近い形で浦和戦に先発したレアンドロ・ダミアンは、前半の早い時間帯から積極的に相手ディフェンスラインにプレスをかけていた。全力ダッシュで迫ってくる巨体に、浦和のDFたちはまさしく“プレッシャー”を感じたことだろう。
時にGKの目の前まで、かなり深い位置までボールを追っていくこともあったが、プレスをかけるか・かけないかのメリハリはしっかりしていて、常に組織のバランスを意識しながら後ろや横の選手たちに身振り手振りで指示を送り、全体を破綻させないよう気を配って走っているのはスタンドからもわかった。
浦和に対し、フロンターレは基本的に1トップのレアンドロ・ダミアンと両サイドの小林悠と家長昭博が3バックを1人ずつケアする守備陣形を敷いていた。浦和の両ウィングバック、2人のインサイドハーフ、2トップにもそれぞれフロンターレの目の前の選手がつき、システム的に噛み合った状態になる。
例えばその中で、アンカーの選手を監視する中村が、時折前線までスプリントをかけて飛び出してプレッシャーをかけることもあるが、レアンドロ・ダミアンはそういう状況になるとバランスを見ながらスッと引いて中村の背後のカバーに入る。こういった細かい守備の連係も怠らない姿勢はチームメイトたちから信頼を得るのにも一役買っていた。
ボランチからゲームをコントロールしていた守田英正は「守備の部分で2度追い、3度追いとすごく献身的な守備をしてくれたので、そこはすごく助かりました。そういうチームへの忠誠心みたいなところもすごくあるので、そこはすごくいい選手だなと思います」とレアンドロ・ダミアンの奮闘ぶりに感銘を受けているようだった。
全員が同じではないが、ブラジル人FWは守備をしない、あるいは守備に対する意識が低くスキルも発展途上というイメージは少なからずあるだろう。しかし、レアンドロ・ダミアンは単なるストライカーとは一線を画すスタイルで名を上げてきた。
「ブラジルでもあのような形でずっとやってきたし、チームとして勝利することが最も大切で、とにかく毎試合自分たち(のスタイル)をうまく表現して、優勝争いに絡んでいければいいと思う」