「サッカーだけの人間」だけではない、その人柄
そんなサロモンソンのサポーターに対する思いを表すエピソードがある。
昨年9月にBKヘッケンとの間で行われたダービーマッチで、ヨーテボリは1-4で惨敗を喫してしまう。11位という不振のシーズンを象徴するようなこの試合の直後、サロモンソンは自らゴール裏へ向かった。
怒りと悲しみ満ちたサポーターに歩み寄り、釈明するためだった。「サポーターを思いや考えに耳を傾けようとした」とサロモンソンは振り返っている。
また、いわゆる「サッカーだけの人間」ではないようだ。セムレル氏は「サロモンソンは教養人で、地元の様々なイベントによく参加していた。音楽フェスやカーニバルではよく姿を見かけた。日本は文化的にも歴史的にも魅力が多いから、彼がこの東洋の国の虜になったとしても驚きはしない」と語る。
サロモンソン本人は、広島加入後のスウェーデンメディアの取材に「歴史に興味があるから、広島という街について知るのは刺激的だ」と話している。
スウェーデンでは、サロモンソンが移籍先として欧州他リーグではなくJリーグを選択したことに対して懐疑的な声が少なくない。
それだけに、初の国外挑戦として日本を選んでくれたことを嬉しく思うし、そうした声が誤りだということをそして、ピッチ内外で充実した日々を送り、できる限り長く日本でプレーしてほしいと心から願っている。
(取材・文:鈴木肇)
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