才能を開花させるも、悩まされた潰瘍性大腸炎
右サイドを疾走するそのスピードに驚いたのはもちろんだが、それ以上に印象に残ったのがオーバーラップを仕掛けるタイミングだ。味方がパスの出しどころを探している時やサイド攻撃に厚みを加えたい時、ここぞという場面で顔を出していたのをよく覚えている。アンデションが目をつけた、選手としての知性を垣間見たゲームだった。
サイドバックとしての才能を開花させたサロモンソンは2011年シーズンの途中、国内屈指の強豪ヨーテボリと契約。この頃、自身のプレースタイルについて地元メディアにこう話している。
「南米の選手みたいにフェイントを駆使して相手を抜き去るというタイプではない。走力と大きなストライドを生かしてサイドを動き回り、クロスを供給するのが好きだ」
国内トップクラスのチームに移籍し、さらなる成長を目指していたサロモンソン。だがその矢先、大きな障害が立ちはだかる。
ハルムスタッド時代から時おり下痢や倦怠感に悩まされていたサロモンソンは、2011年10月、医師からある病名を告げられる。潰瘍性大腸炎。炎症性腸疾患の代表的な病気で、一般的な症状としては腹痛、排便・排尿回数の増加、下痢や下血がある。最悪の場合、大腸ガンを発症することもある。
かつてマンチェスター・ユナイテッドでプレーしたダレン・フレッチャー(現ストーク・シティ)がこの病気を患い、長期離脱を余儀なくされた(なお、サロモンソンの病気についてこの記事で紹介することに関しては、サンフレッチェの広報担当を経由して本人の了承を得ている)。
この頃の自分について、サロモンソンは地元メディアにこう語っている。
「1日でトイレに行く回数は7〜8回、多いと20回のときもあった。しかも血尿がほとんどだった。この病気になったとしても薬物療法を受ければ普通に生活できることがほとんどだが、自分の場合はいろいろな薬を試しても効かなかった」
そんな状況でありながら、ヨーテボリで定位置を確保し、スウェーデンB代表(主に国内リーグの選手で構成)にも選ばれた。だが、このままではプレーに影響を及ぼすのはもちろん、選手生活に終止符を打たなければならなくなると考えたサロモンソンは、自分の体にメスを入れる決断を下す。2012年12月、大腸を切除して小腸と直腸をつなぐ手術を受ける。