海外移籍の夢へ、フィジカル強化に最適な環境
未練にも似た思いは、しかし、いまでは完全に吹き飛ばされている。先月下旬に行われた新体制発表などを介して先輩選手たちと顔を合わせ、自主練ながら練習拠点の「いわきFCフィールド」でボールも蹴った。在籍年数が長い選手ほど、筋骨隆々のボディになっている点にまず驚かされた。
「胸筋が自分の倍は膨れあがっていますからね。いわきFCの筋トレは徹底されているし、体がでかいのにみんなスピードもある。その点ではJリーグとそれほど変わらないと思うし、だからこそ自分も鍛えていかないと。1年間で3kgから4kgは増やしたいですね。いまが68kgなので、72kgくらいが目標です。体を大きくしながら強さも加えて、スピードをもっとつけて、判断のスピードもあげれば、どんな相手であっても自分が得意とするドリブルがさらに生きると考えているので」
いわきFCは今シーズンから東北社会人サッカーリーグ1部を戦う。アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める株式会社ドームが親会社となり、新体制のもとで再スタートが切られて4年目。福島県社会人リーグ2部からスタートしたいわきFCは全勝のまま、JFLのひとつ下のステージへひとつずつカテゴリーをあげてきた。
攻守で見せる圧倒的な力の源は、日本スポーツ界初の商業施設複合型クラブハウス「いわきFCパーク」の2階に入居している、ドームが運営するトレーニングジムとなる。新たに船出したときから「日本のフィジカルスタンダードを変える」をスローガンのひとつに掲げ、最新鋭のトレーニング機器とノウハウのもとで、選手たちは日々肉体の鍛錬に励んでいる。
ノウハウのひとつが遺伝子検査であり、結果によってトレーニングメニューも選手個々で組み立てられる。すでにバスケスの唾液も採取され、近日中に遺伝子の型が判明する。ドームに所属する栄養士の管理のもと、摂取カロリーがしっかりと計算された食事が朝・昼・晩と提供される抜群の環境のなかで、バスケスの視線は新たな方向へも注がれている。
「いわきFCから海外へ、という道も自分のなかで描き始めていて。なので、英語も話せるようになりたいと考えています。いまはスペイン語と日本語ですけど、英語を話せるようになれば、もし早い段階で海外へ行くことになっても言葉には困らないので、個人で頑張ってみようかな、と」