レアンドロ・ダミアンが見事なゴールで川崎フロンターレに今季初のタイトルをもたらした【写真:Getty Images】
Jリーグの新シーズン開幕を告げる風物詩、FUJI XEROX SUPER CUP 2019が16日に行われた。昨季のタイトルホルダー同士の対戦で、J1王者・川崎フロンターレが天皇杯覇者・浦和レッズを1-0で下している。
川崎Fにとって初めてとなるカップ戦のタイトルをもたらしたのは、今季から新たに加入した期待の新戦力だった。52分、左サイドからのクロスをヘディングで落としたFWレアンドロ・ダミアンは、MF中村憲剛が競ったこぼれ球に自ら反応し、左足でシュートを放つ。
ハーフボレー気味にバウンド直後を正確に叩いたシュートは、浦和のGK西川周作が伸ばした手をかすめてゴール左に突き刺さった。これが決勝点となり、川崎Fが今季最初のタイトルを手中に収めた。
鳴り物入りで加入したストライカーは、攻守に精力的に走り回って勝利に大きく貢献。元ブラジル代表のクオリティを存分に見せつけ、「フロンターレとしてもカップ戦で初めてタイトルを獲れたということを嬉しく思う。ただもっともっとこのチームにタイトルをもたらしたい」と笑顔で勝利を誇った。
自らのゴールの場面ではキャンプ中の練習試合でFW小林悠の一発をアシストした場面がよぎり、「はじめは(中村)憲剛にアシストするつもりでボールを戻した」というが、最終的には自ら技ありのシュートで仕留めた。L・ダミアンは「たまたま自分のところにボールがうまく転がってきて、シュートをうまく決めることができた」と謙遜するが、まさにワールドクラスの一撃だった。
2012年のロンドン五輪で得点王を獲得するなど実績豊富なスター選手だが、思考は謙虚そのもの。自らの手でチームをタイトルに導いても、「フロンターレには本当に素晴らしい選手たちがたくさんいるので、そういった意味で自分がフィットするのもすごく楽だった。チームメイトがサポートしてくれたように、自分もできるだけチームのために力になっていきたい」とあくまでフォア・ザ・チームに徹する。
適応が難しいとされる川崎Fのスタイルにリーグ戦開幕前から完璧に馴染み、何年も一緒にプレーしていたかのように平然とプレーするL・ダミアン。昨季同じ元ブラジル代表のFWジョーが名古屋グランパスで大爆発したように、これからの一層の活躍、さらに得点王獲得などにも期待がかかる。
しかし、「自分は得点王は特に意識していない」ときっぱり。そして「最も大切なのはチームがタイトルを獲得すること。その中で自然と得点王になることがあればもちろんうれしいけれど、まずは自分がというより、チームがタイトルを獲得することだけに集中していきたい」と3連覇を目指す川崎Fのために全てを捧げることを誓った。
(取材・文:舩木渉)
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