信頼が厚いほど力を発揮する
ネットを揺らせれば最高だったが、フィニッシュに関わるプレーを見せたことは今後に繋がるポジティブな要素だろう。今節も途中出場だったが、過去2戦と同じようにボールによく絡み、攻撃にアクセントを加えた。クアレスマやリャイッチとのユニットも今後の発展が期待される。
香川は、すでにチームからの信頼は勝ち取っているだろう。初戦で2点を挙げたことも大きいが、彼がボールに関われば何かが起こる、と仲間たちに理解してもらえているのではないか。信頼の下でプレーしているから、香川自身も積極的にチームに働きかけている。ビルドアップの際にジェスチャーでボールの進行方向を伝えるなど、経験豊富な選手の振る舞いだった。
ロシアワールドカップでは初戦のコロンビア戦で先制のPKを決めた。プレッシャーのかかる場面で日本代表の10番はその存在価値を示した。下馬評を覆しベスト16進出を果たしたチームにあって、香川は随所にクオリティを発揮。大きな役割を果たしている。
本大会が目前に迫る中、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督体制が突如終わり、西野朗監督体制となった。ハリルジャパンでは存在感が薄れていた香川は、西野ジャパンで見事に復活。トップ下で起用され、10番はそれに応えた。信頼を感じることでその力をフルに発揮する選手なのかもしれない。
香川は今、ベシクタシュの仲間から信頼を得ている。次節はフェネルバフチェとのダービーマッチ。リャイッチは累積のため出場停止だ。エースの不在は痛いが、香川にとっては絶好のチャンスだろう。スタメンか途中出場かに関わらず、仲間の信頼に応えるプレーで勝利をもたらしたいところだ。
(文:青木務)
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