積極補強で定位置争いは激化か
昨季はクラブ史上初のYBCルヴァンカップ制覇を果たし、リーグ戦でも激しい残留争いに最後まで巻き込まれながら自力で残留を果たすなど、チームとして自信を得た1年を送った湘南ベルマーレ。しかし、本当の勝負は今季だ。
事実、「湘南ベルマーレ」として2年連続でJ1残留を決めたことは一度もない。だからこそ、今季はそのジンクスを跳ね除ける必要がある。
そんな同チームは今冬、かなり積極的な補強を敢行した。新たに加わった選手は13名。その大半はJ1リーグ、あるいは海外でのプレー経験豊富な実力者ばかりである。新シーズンへの期待は高いと言ってもいいだろう。
CBには、清水エスパルスにおける守備の要として昨季のJ1リーグで29試合出場を果たしたフレイレと、ブラジルからやってきたデュマスを加えた。両者とも実力は十分で、即戦力として数えられることは間違いない。長く湘南を支えたアンドレ・バイアの穴を埋めることが期待される。
中盤には古林将太、武富孝介、中川寛斗、レレウらが加入している。古林、武富、中川はかつて湘南、それも曹貴裁監督の下でプレーした経験を持っており、チームに溶け込むという部分ではそう時間はかからないはず。レレウも長くブラジルでプレーしているなど実績は十分。いずれの4名も、主力を張れるほどの選手だ。
最前線には指宿洋史が加わっている。こちらは山崎凌吾と1トップの座を争うと思われるが、同選手の経験や実績は湘南にとって大きな戦力となるはずだ。
また、昨季の主力でもあった岡本拓也と秋野央樹が完全移籍でチームに“加わる”ことになった。これも湘南にとっては大きな補強だ。
これらの新加入組と既存戦力を合わせると、湘南の選手層はかなり厚くなったと言えるだろう。誰がスタメンで出てもおかしくはなく、新シーズンは激しい定位置争いが繰り広げられることになるはずだ。
また、鈴木冬一や大橋祐紀といった若手選手の飛躍にも期待したい。昨季はルヴァンカップで出場機会を得た坂圭祐や金子大毅といった選手がリーグ戦でもスタメン出場の機会を増やしており、シーズン終盤は主力としてプレーしていた。そのため、鈴木や大橋にも出番は必ず回ってくるはずだ。そうしたチャンスは逃さず、確実に生かしたいところである。
昇降格を繰り返してきた過去に終止符を。そしてJ1定着への第一歩を踏み出したい湘南。今季のスローガンは『Acceleration-加速-』。昨季よりチームを一段上のレベルへ「加速」させ、それらの目標を達成したい。