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日本代表 6年前

アジアカップ準優勝は吉兆の予感? 回避すべきザックジャパンの二の舞、選手固定は無益【日本代表熟練記者の眼】

シリーズ:日本代表熟練記者の眼 text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka , Getty Images

優勝を逃したからこそ大胆なチャレンジが可能に

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タイトルをあと一歩で逃した悔しさを次につなげなければ意味がない【写真:Getty Images】

 このように今回の日本代表は8年前と似た道を辿りながら、最後の最後で異なる結末に直面した。2011年に成功したザックジャパンはその主力とともに最終予選を戦い、2013年6月のオーストラリア戦で世界切符を得た。

 だが、直後の2013年コンフェデレーションズカップで惨敗。2014年ブラジルワールドカップまでの1年間に新戦力を急ピッチで発掘し、チームをシャッフルするという悪循環に陥り、結果的にブラジルでも失敗した。そんなザック体制の流れを踏まえると、森保ジャパンは準優勝でよかったのではないかという見方もできるのだ。

 アジアカップでの森保監督はザック監督以上にメンバーを固定する傾向が見られたため、仮にアジアのタイトルを取っていたら、今回のスタメンを「確固たる土台」と位置付けていた可能性が高い。

 となれば、欧州で新天地を見出した香川や昌子源らロシア組の復帰も遠のくかもしれないし、鎌田大地のように欧州で結果を出している若手の抜擢機会も減るだろう。国内組にも鹿島アントラーズの鈴木優磨や安部裕葵ら若手の有望株がいるが、彼らのトライも遅れてしまっていた可能性がある。優勝というのは時に毒になることもあり得るのだ。

 逆に今回優勝を逃したからこそ、ここから大胆なチャレンジに打って出られる側面はある。「3月のコロンビア・ボリビア2連戦に香川や昌子、鎌田を呼んでチームを活性化させよう」といったプランも実行しやすくなるし、4-2-3-1以外のフォーメーションや戦術に着手する好機になるとも考えられる。

 早いうちから多種多様な取り組みをしておけば、ブラジル直前にバタバタしたザックジャパンと同じ轍を踏むことはない。その教訓を生かせるのは間違いなくプラスだ。

 日本は「アジアの常勝軍団」たるべき存在ではあるが、今回のアジアカップで分かった通り、中東勢や東南アジア勢が力をつけていて、必ずしも勝ち続けられる状況ではなくなった。その厳しい事実を踏まえて、日本は戦力や戦い方に幅のある集団に変化していかなければならない。

 タイトルをあと一歩のところで逃した悔しさは必ず次の飛躍につながる。むしろ、そうしなければ、カタールに敗れた意味がない。この屈辱感を3年後の成果にすべく、森保監督にはより柔軟な選手起用や采配、チームマネージメントを求めたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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