ザック監督以上に主力に固執した森保監督
本番に入ってから苦戦続きだったのも酷似している点。今大会の日本はご存知の通り、初戦・トルクメニスタン戦の前半からビハインドを背負い、後半に入って大迫の2発と堂安のゴールで逆転にこぎつけるという不安定なスタートを強いられた。
続くオマーン戦も再三に渡る決定機を逃し、原口のPKで何とか1-0で勝利する状態。ウズベキスタンにも勝ち、1次リーグ3戦全勝と終わってみれば好成績ではあったが、内容的にはまだまだという部分が多かった。
決勝トーナメントに入ってからも、ラウンド16でサウジアラビアに一方的にボール支配を許し、準々決勝・ベトナム戦でも相手のカウンターに苦しむなど、アジア屈指の強豪という顔は見せられなかった。
その停滞感を3-0で圧勝した準決勝・イラン戦で完全払拭したものの、逆にそれがマイナスに作用してしまう。伏兵・カタールとの決勝は、8年前のオーストラリアと一進一退の攻防とはかけ離れた内容になり、日本の王者奪還はならなかった。
8年前と同じ16ヶ国出場であれば、日本は6戦を終えた時点で優勝していた。が、今回から24カ国に拡大し、短期間で7試合を消化する超過密日程になったことで、選手たちのフィジカル的な負担は想定以上だった。
1位通過によってアブダビ→アルアイン→シャルジャ→ドバイ→アルアイン→アブダビとUAE全土を回る形になったのも、ボディーブローのように効いたはず。そこに追い打ちをかけたのが、森保監督の固定したメンバー起用だ。
サウジ戦以降は出場停止を除いてスタメンが毎回同じで、吉田や柴崎らは決勝のパフォーマンスがよくなかった。交代も遅かったから、主力メンバーは疲労困憊だった。指揮官の選手起用の頑固さは8年前のザック監督を上回っていた。
今回は「新生ジャパンの土台を作る」という目的があったにせよ、この采配は疑問が残る。森保監督のメンバー入れ替えや交代のタイミングについては今後、検証されるべきテーマと言える。