ザック時代を上回る期待値?
「2011年の時に似てるのは間違いない。あの時は優勝までいい形で行けたからよかったですけど、勢いだけで壁にぶつかった時に一気に崩れる可能性がある。そういう時に若い選手がどういう成長をするのかがカギだと思う。僕自身も安心感を感じさせられるような選手でいたいです」
2011年のアジアカップ制覇の生き証人である長友佑都が大会前にこう語っていたように、8年前と今回のアジアカップを戦った日本代表の状況はよく似ていた。
2011年大会は、2010年南アフリカワールドカップでベスト16入りしたチームの主力だった川島永嗣、長谷部誠、長友や本田圭佑、岡崎慎司らが軸を担い、アジアの頂点まで上り詰めた。
2010年秋のアルベルト・ザッケローニ監督就任直後の新チームはアルゼンチンを撃破するなど破竹の勢いで、大会前から期待が大きかった。しかし、実際にアジアカップが始まってからは1次リーグから苦戦が続き、決勝トーナメント突入後も韓国とオーストラリア相手に延長戦まで戦い抜くなど、一筋縄ではいかない試合が続いた。
松井大輔や香川真司がケガで途中離脱を余儀なくされるアクシデントも起きたが、こうした要素を乗り越えての優勝には大きな価値があった。
一方の2019年だが、日本は半年前の2018年ロシアワールドカップで16強入り。当時の主力だった長友、吉田麻也、酒井宏樹、柴崎岳、原口元気、大迫勇也といった中核選手が残った。彼らと堂安律や冨安健洋といった若手が融合したチーム構成は8年前に近かった。
森保一監督就任後、強豪のコスタリカやウルグアイを破る快進撃を見せたのも当時と共通する点。アジアカップ前の期待値の高さはザック時代を上回るものがあったかもしれない。