先発11人が海外組。若くして海を渡る意義
「若く」て「経験不足」なチームがなぜ大会前の懐疑的な見方を覆し、決勝まで勝ち進むことができたのか。その理由はまさにここからはっきりと読み取れる。
カタール戦に先発した10人のフィールドプレーヤーのうち9人が欧州のクラブでプレーしており、残りの一人である塩谷司はUAEのクラブに所属。塩谷は負傷した遠藤航の穴埋めとしての出場だったが、その遠藤もベルギーでプレーする選手だ。
世界最高レベルのリーグでの戦いを経験する日本人選手は増えていく一方であり、そういった選手の年齢もどんどん若くなっている。
外へ出ることは彼らが選手として成長する助けになるだけではなく、より大人数の、より威圧感を感じさせるような観客の前でプレーすることに慣れ、海外の相手と戦う時に劣等感を持たずに済むようにもなる。同時にピッチ外での成長にも繋がり、人間として成熟することで、強いプレッシャーがかかる状況に対処する準備もより整えることができる。
19歳で欧州へ移籍したことが自身にどう影響したかと堂安に尋ねると、「あらゆる面でゼロからスタートしなければいけませんでした」と彼は答えた。
「人間としても選手としても本当に自分が変わったと思います。もちろん難しい時期もありましたが、だからこそ今ここにいられるんだと思います」
カタール戦の敗戦も、堂安とチームメートたちにとって、そういった困難のひとつとなった。だが、今後も数ヶ月や数年かけてチームとしての成長を続けていくであろう彼らが、この先に手に入れた勝利への後押しになったきっかけとして今回の敗戦を挙げることがあったとしても全く驚くにはあたらないだろう。
(取材・文:ショーン・キャロル【UAE】)
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