吉田麻也が語った敗戦の原因
アジアカップは最終的に日本にとって残念な結果に終わったが、大会全体を通して見ればネガティブな面よりもポジティブな面が大きかったと言える。森保一監督のチームは次回のワールドカップサイクルに向け、サムライブルーの若返りのプロセスをスタートさせることに成功している。
2月1日にアブダビで行われたカタールとの決勝では立ち上がりのまずさから前半で2-0のリードをプレゼントし、状況はあまりにも厳しくなってしまったが、後半に反撃に転じた戦いぶりは今後への期待を大きく高めるものだった。最終的にはVARにより与えられたPKで勢いを抑えられてしまい、3-1の勝利を収めたカタールがアジア王者に戴冠した。
チームの周辺では「若い」「経験不足」といった表現が用いられ続けていたが、実際のところ、1ヶ月間にわたってチームを近くで追い続けていると、選手たちからは本格的な成熟ぶりや自信がにじみ出るようになっていた。吉田麻也も試合後に認めていたように、最多記録となる5回目の大陸制覇を逃した原因は、自信不足よりもむしろ過剰な自信にあったのかもしれない。
「ゲームの入りが良くなかったということと、何よりもそれが起こるんじゃないかなっていう気が自分自身してて。イランとの試合で非常に良いパフォーマンスを出せて、そのあとカタールとUAEの試合を見て、いけるんじゃないかという心の油断があるんじゃないかなっていうのをチーム全体に感じていたので、そこでチームを律することができなかった自分のキャプテンとしての未熟さというか不甲斐なさを非常に悔いています」と吉田はAFCのインタビューに語っている。
過去に日本の足枷となっていたのは、自信過剰ではなく自信の欠如だった。チームが隙を突かれてしまい、スタートから急襲をかけたカタールにアルモエズ・アリとアブドゥラジズ・ハテムの2つのスーパーゴールで主導権を握られてしまったのはもちろん残念ではあったが、選手たちはこの経験から得るものがあったはずだ。今後はこういった形で油断に付け込まれてしまうことがなくなると願いたい。