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日本代表 6年前

森保監督の評価は及第点か。成果も出たが課題もあった。しかし…それこそ未来への収穫【アジアカップ通信簿】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

森保監督が持ち帰った成果と課題は?

森保一
森保一監督は日々選手たちとのコミュニケーションを欠かさなかった【写真:Getty Images】

 それでも指揮官は粘り強く戦うことを選び、必要最低限の点差とエネルギーで勝ち進むという戦略もあったのではないか。とはいえ本当に苦しい流れになった場面で、明確な策を示せなかったことも触れておかねばならない。

 カタール代表との決勝。システムのミスマッチと日本の守備戦術のアンバランスを突いてきた相手に2点を先行されながら、有効な対抗策を打ち出せなかった。もちろん流れていく時間の中で全員の意思統一を図ってガラリと戦い方を変えるのは困難を極めるが、何かしらの変化を与えても良かったように思う。

 前半と後半で戦い方を大きく変えられた試合もあって、徐々にチームとしての土台はできつつあるが、全員の戦術理解度が揃っていないことも影響しているはず。それでも交代によるメッセージの発信など、若干タイミングが遅く感じることもあった。

 長友佑都は「いろいろカメレオンのようにやり方を変えたらいいんじゃないですか。相手のチーム、環境によって、ポゼッションするのか、それとも守って今引くべきなのか、そういう判断をしていければもっと成長していくんじゃないか」と話していたが、まさに今後は相手の出方に応じて瞬時に状況を判断し、それを上回る策を見極める力が必要になる。ピッチ全体の意思統一を図るにはリーダーの存在と、確固たる判断基準も欠かせず、ハーフタイム以外のタイミングでも戦い方を変えられるチームになれれば理想的だ。

 今大会の最も大きな収穫は、継続的に起用してきた若手たちが貴重な経験を積み、可能な範囲で最多の7試合を戦えたことだろう。現体制でたった1敗しかしていなくても、先に挙げたような課題も出てきている。これも今後に向けた成果として捉えたい。

 実は大会中のある時、チーム広報を通じて森保監督から筆者に意見を求められたことがあった。あまりに急で気が動転し、身にあまる光栄と感じながらもありきたりなことしか答えられなかった記憶しかないが、そうやってチーム内外でのコミュニケーションを大切にする人格者だからこそ、後ろに心強い仲間がついてくるのだろう。

 相変わらず指揮官の真意を読み解くことは困難を極めるが、アジアの頂点を目前にした悔しすぎる敗戦を糧にして、森保ジャパンのさらなる進歩を期待したい。今更アジアカップのタイトルを逃したからといって日本サッカーの未来を憂いても、トップにいる日本代表が前に進まなければ、サッカー界全体の底上げには繋がらないのだから。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

【了】

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