大きかったデ・ブライネの働き
プレミアリーグ首位を走るリバプールに最後までプレッシャーを与えたいマンチェスター・Cにとってはこれ以上ない完璧な勝利となった。前節ニューカッスルにまさかの敗戦を喫したショックを引きずらずに得た勝ち点3は非常に大きいと言えるだろう。
そしてもう一つポジティブな要素を挙げるとすればケビン・デ・ブライネがトップコンディションに戻りつつあることだ。
シーズン序盤を負傷により棒に振ってしまった背番号17。昨年12月頃から戦列に復帰してはいるが、今季リーグ戦においてフル出場は1回のみとなっているなど、まだ本調子でないことは明らかだ。
しかし、アーセナル戦で発揮したパフォーマンスは復調の兆しを十分に感じさせた。
同選手はインサイドハーフの位置で先発したが、先述した通りB・シルバと果敢にポジションを入れ替えるなど攻撃面でその存在感をアピール。サイドから相手守備陣が反応できない正確で鋭いクロスを何本も供給するなど、多彩なキックで違いを生んでいた。
攻撃時の同選手は主に相手の最終ラインとボランチの間にポジショニングし、パスを呼び込もうとしていた。だが、デ・ブライネにはゲンドゥージがマークに張り付いており、試合序盤はそうした対応に苦戦していた印象だ。
しかしチームが攻撃のリズムを掴み始めると、背番号17も徐々に存在感を発揮。チームが長いボールを織り交ぜながらアーセナルの守備陣を左右に揺さぶるため、次第にゲンドゥージのマークが遅れてくる。その隙を突いたデ・ブライネは相手の背後へ走り込み、パスを呼び込んではクロスやシュートまで持っていく役割を完遂した。アーセナルの守備はこの動きを捕まえることができていなかったのだ。
また、チームがアーセナル守備陣を深い位置まで押し込み、何名かの選手がPA内へ侵入していく傍ら、デ・ブライネは相手の動きを見定め、PA内手前にポジショニング。完全フリーとなることに成功し、そうした形から何度かシュートへ持ち込んだ。50分のシーンは、まさにその典型的な例だ。
事実、この日デ・ブライネは全体トップとなるシュート数5本を記録。得点こそ生まれなかったが、攻撃面での存在はかなり光った。
首位奪還を目指すマンチェスター・Cにおいてデ・ブライネの復調は追い風となるはずだ。アーセナル戦でリーグ4試合連続出場となっており、今後さらにコンディションを上げていくはず。これからのプレーにも注目したい。
(文:小澤祐作)
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