頼もしさを感じる落ち着きぶり
22分、ラファエウ・ゲレイロに突破を許し、折り返しをロイスに押し込まれて先制を許すが、フランクフルトは、負けじと前半の内に同点に追い付く。「自分たちもツキがあったかな」と長谷部は言う。24分、26分とロイスが決定機を逃すと、36分、ダニー・ダ・コスタの右からのクロスを、ヨビッチがアクロバティックに押し込む。
後半に入ると、前半に比べて試合は膠着。長谷部も、ドルトムントのCBアブドゥ・ディアロも、手堅い守備を見せた。隙を作らなかった。
「後半自体は、僕らはやっていて全然悪い感じはしていなくて、相手に決定的なチャンスも作らせていなかったし、うーん…自分たちの方が、前の選手が一発あるなっていう感じはありましね。このままやっていれば、勝ち越せるんじゃないかな、っていう感覚も正直ありました」
そして試合が1-1のドローに終わると、長谷部は、次のように振り返った。
「試合内容を見たら、もちろん妥当な結果かな、と思います。前半、0-2、0-3にされる可能性も全然あったし、逆に自分たちがリードというか、勝ち切れるゲームでもあったと思うし…まあ、受け入れるべき結果かなと思います」
決して「ミス」を引きずらず、落ち着きを失わない。それでいて心は熱く戦い、最後は結果を冷静に受け止める…この日、今冬に移籍加入後初めてピッチに立ち、3バックでコンビを組んだヒンターレッガーは、長谷部の存在を、実に頼もしく感じたに違いない。
(取材・文:本田千尋【フランクフルト】)
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