「35歳を超えてキャリアのピークを迎えた選手を間近で見てきた」
次のファイナルは長友にとって116試合目の国際Aマッチ。川口能活、岡崎慎司(レスター)に並ぶ歴代3位に躍り出る記念すべき一戦なのだ。その先には122試合の井原正巳(柏コーチ)、152試合の遠藤保仁(G大阪)がいるが、仮に長友が2022年カタールワールドカップまで代表に生き残るならば、遠藤保仁の領域に到達する可能性もゼロではない。この一戦は自身の代表キャリアの行く末を左右しかねない重要な節目になるのだ。
「35歳を超えてキャリアのピークを迎えた選手を僕は間近で見てきた。(ハビエル・)サネッティなんか35とか36歳でチャンピオンズリーグ優勝して、38歳でアルゼンチン代表としてワールドカップに出ていた。そういう選手がいるってことは、同じ人間なんでできないことはない。僕もまだまだこれからだと思います」と野心をみなぎらせる男は、飽くなき向上心で日本歴代最多キャップ数を目指し続けていくに違いない。
その布石を打つ意味でも、自身3度目のアジアカップは絶対に優勝で終わらなければならない。その意味を誰よりもよく分かっているのは、もちろん長友本人である。
「イラン戦のように次もハイエナ戦法ですよ。こぼれ球をどんどん狙って、拾いに行く。それはイランの選手もホントに嫌がっていた。『あいつら、まだ走るのか』と。抜いたとしても、はがしたとしてもまた追いかけてくるという。そういうサッカーなら間違いなく勝てますよ」
カタール戦の戦い方を具体的に提示した背番号5は、ピッチ上でそれを真っ先に実践してくれるはず。苦しい時間帯でもブレることなく走り続ける姿に、森保一監督とチームメートが励まされる場面も少なくないだろう。この男が輝いてこそ、日本が8年がかりで追い求めてきたアジア王者の座に返り咲ける。長友佑都にはベテランらしいけん引力と経験値を、来るべき大舞台で遺憾なく発揮してほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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