カタールのキーマンは4人
そしてUAE戦の2得点目はそうした組織のベースに、もう1つの大きな強みである個人能力の高さを加えたカタールの特長が凝縮されたようなゴールだった。
得点者はこれが大会8得点目となった19番のアルモエズ・アリだ。右のスローインからアシル・オメル・マディボを起点に繋いだパスは10本。右から中、左、中、右とワイドに揺さぶり、最後は左サイドの綺麗なワンタッチのトライアングルのパスワークからアクラム・ハッサン・アフィフのラストパスを受けたアルモズ・アリが鋭く中に切り込んで、左斜め45度から反対側ポストの内側を叩いてゴールネットを揺らした。
まさしく組織と個の融合を象徴するゴールだった。このアルモエズ・アリを最大の得点源とするカタールには3人の優れたチャンスメーカーがいる。1人はUAE戦でアルモエズ・アリのゴールをアシストしたアクラム・ハッサン・アフィフ、そしてアルモエズ・アリがあげた8得点のうち4得点を演出したアブデル・アジズ・ハテム、もう1人がキャプテンで10番を背負うハッサン・アル・ハイドスだ。
ポゼッションからでもカウンターからでも、必ずといっていいほど3人のだれかが絡み、時に3人全てが絡んでアルモエズ・アリなどに良質なラストパスが供給される。
日本代表はもちろん戦前のスカウティングでカタールのスタイルをしっかり掴んで試合に入るはずだが、可変性の高い組み立てや素早いネガティブトランジションからのプレスなどは実際に試合に入ってみて選手が感じ取れる部分も大きいはずだ。
ただ、結局はこの3人の危険なチャンスメーカーと1人の傑出したストライカーがキーマンであることは常に頭に入れて対処していくことが生命線になるだろう。
(取材・文:河治良幸【UAE】)
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