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アジア 6年前

カタールが叩き込まれたスペイン&バルサ流戦術。アジア屈指のタレント集団、強さの根源は?

text by 河治良幸 photo by Getty Images

カウンターは最大の武器

 さらにカタール代表は9人がアル・サッド、5人がアル・ドゥハイル所属の選手であり、特にスタメンは基本的に6番のMFアブデル・アジズ・ハティム(アル・ガラファ)をのぞく選手がこの2クラブだけで構成される。

 アル・サッドはFCポルトで3度のリーグ制覇を成し遂げ、クアレスマやペペを一流選手に育てたことで有名なマヌエル・フェレイラが率いており、アル・ドゥハイルは長く“モウリーニョの右腕”として知られたルイ・ファリアが指導に当たる。

 そうした技術的、戦術的、組織的ベースを備えた選手たちはアジアカップにおいても3バックと4バックを自在に使い分け、4-3-3であれば中盤のトライアングルを試合の流れや相手との噛み合わせに応じて逆三角形、正三角形、やや非対称にした形など、見事に可変させている。

 実際UAE戦でも最初はザッケローニ監督率いるUAEが高い位置からのプレッシャーではめ込んでいるように見えたが、カタールはすぐにポジショニングを調整して主導権を奪ってしまった。

 そして全体的にはボールを保持しながら、いざ得点を取るときは研ぎ澄まされたカウンターが最大の武器になっているのがカタールの怖さでもある。UAE戦の先制点もやや長めのカウンターだった。

 ボランチの23番アシル・オメル・マディボが右サイドのカバーからボール保持者を中に追い込み、パスの受け手を挟み込んだところから、最終ラインのカバーに入っていた11番のアクラム・ハッサン・アフィフが素早いファーストパスを16番のブアレム・フーヒに通すと、右ワイドからゴールを決めた。

 このシーンで面白いのはUAEがセットプレーのカウンターを仕掛けてきた直後で、一時的にFWのアクラム・ハッサン・アフィフが後ろでカバーに入り、184cmのセンターバックであるブアレム・フーヒがターゲットマンの1人として攻め残っていた流れから、守備と攻撃の役割が入れ替わっていても、なんでもないようにスムーズにボール奪取からファーストパス、フィニッシュまでやり切ってしまったことだ。

 基本的にFW、MF、DFというポジションはあっても、トータルフットボールの源流を組む技術、戦術を学んできている選手たちならではのプレーと言える。

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