カタールの前線は突破力とスピードがある
ボランチは頭から塩谷司(アルアイン)で行くことが確実視されるが、守備陣の構成が変われば、微妙にリズムや間合いも変化してくる。そこを相手に突かれないようにしなければならない。
「試合に出るとなったら準備はできてますし、やれる自信はある。チームが勝てるためにどんな形でも貢献できればいい」と室屋が言えば、塩谷も「最後ファイナルでもう1試合、自分にできることをやりたいなと思います」意欲を新たにしていた。新たな編成になる可能性のある守備陣がどこまで組織的かつ連動性のある守りを見せられるのか。日本としてはまずそこに強くこだわるべきだ。
イランの場合は1トップのアズムン目掛けてロングボールを蹴り込むスタイルが主流だったが、カタールの場合はとにかく前線に突破力とスピードがある。アルモエズ・アリの鋭い動きは脅威だし、左右のワイドでプレーするアクラム・アフィフ(アル・サッド)も素早い動きで敵陣に飛び込んでくる。日本の場合、酒井や室屋、長友らのスピード対応は問題ないものの、吉田と冨安健洋(シントトロイデン)の両センターバックはやや速さに不安がある。相手に単純な走りの競争に持ち込まれてしまうとかなり劣勢だ。
そうなる前にキッチリと対処できれば、ここ3試合同様に守りの安定感が生まれ、相手も焦りをにじませるはず。そうやって精神的に追い込めれば、国際経験で上回る日本は優位に試合を運べる。そうやって自分たちのペースに持ち込むことが肝要だ。
カタール代表のコーチングスタッフも務めるシャビ(アル・サッド)は今大会優勝国をカタールだと予想しているが、日本としては、過去4度の優勝経験、そして2018年ロシアワールドカップ16強国の意地と誇りに賭けても絶対に負けられない。元スペイン代表の名手の思惑をいい意味で裏切るような戦いをすべく、残り2日のアブダビでの準備期間で最高の状態を作り上げてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
【了】