UAE代表のアルベルト・ザッケローニ監督【写真:舩木渉】
UAEのアルベルト・ザッケローニ監督が退任を示唆した。現地時間29日、UAE・アブダビで行われたAFCアジアカップ2019準決勝のカタール戦でUAE代表は0-4と大敗。試合後の記者会見でザッケローニ監督は疲労感がありながらもどこかすっきりとした表情で敗戦の弁を述べた。
「これがフットボールだ。責任は私にある。この試合に向けて準備は整っていたが、ファンを満足させるようなパフォーマンスを発揮できなかった。全員がベストを尽くしたが、多くの間違いを犯した。私が全責任を負う」と記者会見は謝罪から始まった。
ホスト国として臨んだ今大会、UAEは優勝を目指していたがカタールに為す術なく敗れた。「準決勝進出を誇りに思う」と述べたものの、「目標は準決勝よりも高かった。就任して15ヶ月で多くのものを得たが、UAE協会との契約はこの大会までだ」とこの試合をもって退任することを示唆した。
この試合のUAEはミスも多く、ベスト8でオーストラリアを破ったような粘り強さはなかった。それでもザッケローニ監督は「私の責任」と繰り返し、選手たちをかばった。
ザッケローニ監督はかつて日本代表を率いて2011年のアジアカップで優勝。4年間をともに過ごした選手たちとの絆は強い。吉田麻也はアジアカップ決勝進出を決めた後、「ザックさんに会いたい。決勝で再会できたら」とコメントしていた。
日本代表を退任した後は北京国安、UAE代表の監督を歴任し、アジアで実績を残したザッケローニ監督。65歳となったイタリア人監督の新天地はどこになるのか。UAEでの挑戦は一区切りとなるも、最後まで選手たちをかばう優しい姿は日本代表時代と変わらなかった。
(取材・文:植田路生【UAE】)
【了】