長友、吉田ら先輩たちからも大絶賛
もはや彼がいなければ負けていたのではないかとすら思う。28日に行われたAFCアジアカップ2019の準決勝、日本代表は今大会最強と見られていたイラン代表に3-0で勝利を収めた。スコアで差はついているものの、内容はほぼ五分。そのギリギリのせめぎ合いの中で、A代表8キャップ目となった冨安健洋の存在感は際立っていた。
吉田麻也とセンターバックでコンビを組んだ20歳は、序盤からエンジン全開。相手のエースFWサルダル・アズムンとのマッチアップをことごとく制し、イランの攻撃の勢いを削いでいく。ビルドアップでも安定したパス捌きで綻びを作らず、鋭い読みを生かしたカバーリングも光った。
まさに獅子奮迅の活躍と言って差し支えないだろう。先輩たちも冨安のスーパーなパフォーマンスに感嘆の声をあげていた。
相方の吉田は「難しい処理をうまくすることがうまいし、そつがないプレーができるのはDFとしてCBとして経験を重ねないとなかなかできないことだけど、20歳でそれができているというのはすごいことだと思います」と惜しみない賛辞を送り、そこから自らへの刺激も得たようだった。
GKとして後方から冨安を見続けている権田修一も「プレーが良すぎて、あれが(今大会で)成長しているのか、元からできるのかがわからない…というくらい落ち着いていますよね。ちょっと本当にこんなに信頼してしまっていいのかなというくらい、本当に素晴らしいプレーをしてくれています」と手放しで称賛する。「若い選手」ではなく、もはや「頼もしいセンターバック」と全幅の信頼を寄せているのだ。
長友佑都も「特に今日、センターバックの冨安、素晴らしかったですよ。20歳で20番(アズムン)相手にあのプレーはスーパーの連続でしたよ。彼、凄いね。規格外だよね。20代で、この舞台で、この緊張感で、あの落ち着きで、あのプレーができるのは、僕は親心ですよ。どんどん飛躍して、ビッグクラブで戦える選手になってほしいなと。お父さん気分です」と興奮を抑えられない様子で冨安を絶賛していた。これまでも「落ち着き」を称える声は多くあったが、今回はそれをはるかに超えるインパクトを残した。