愛情が芽生えたクラブのために
また、目の前の残留という目標だけでなく、宇佐美は、クラブの未来のことを慮っている。後半戦の目標を「コンスタントに試合に出場し続けること」としながら、「もちろんチームの目標を達成するために貢献したい」と語る。
「その中で自分自身も結果を追い求めたいし、多くの試合で勝ちたいですね。勝った時のフィーリングって本当に気持ちいいので。みんなで勝って、みんなで喜べる試合を努力して作っていく中で、最後、とりあえず昇格チームは1年目にまずは残留しないと。そうすることで、色々なクラブのことも変わっていくと思います」
宇佐美は今、異国の地で出会い、愛着の芽生えたフォルトゥナのために、持てる力の全てを注ごうとしている。泥まみれになってでも、目の前の勝利を手繰り寄せようとしている。
「まずはチームのために、チームが残留するために、チームの目標のために、自分はいるわけなので、そこは忘れずに愚直にやっていきたいと思います」
ブンデスリーガは甘くない。「過信」が「脳裏に掠める」だけで、大敗を喫してしまうことがある。残留を目指すフォルトゥナにとって、最後の最後まで、茨の道は続くだろう。
だからこそ、この困難なミッションをやり遂げた時――。
フォルトゥナにとって、宇佐美にとって、新たな未来が開けるはずだ。
(取材・文:本田千尋【デュッセルドルフ】)
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