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日本代表 6年前

アジアカップ準決勝、イランを自滅に追い込んだ日本代表。それを可能にした唯一無二の存在【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Shinya Tanaka , Getty Images

ハイボール耐性と2-0からの展開

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吉田麻也、冨安健洋のCBコンビ【写真:Getty Images】

 後半も10分間ほどイランのリズムで推移した。しかし、押されながらも日本のDF陣はしっかりと跳ね返している。ロシアワールドカップではベルギーの「空爆」に耐えられなかったが、イランに対してはさほど危なげなかった。ベルギーとは比較にならないとはいえ、イランもパワーと高さはある。日本のハイボール耐性には進歩がみられた。

 先制点は、南野が倒れたときに勝手にプレーを止めてしまったイランのミスがきっかけだった。カルロス・ケイロス監督が「ナイーブなミス」と指摘したとおりである。2点目もイランは自陣でのパスミスから日本にPKを献上。

 2-0となった後、イランは4-4-2に変えて縦へのロングボール一辺倒の攻撃に傾く。最初からそうだったとはいえ、2点ビハインドなので4トップにして高い縦パスを打ち込んでいく。しかし、サイドからのクロスでも揺るがなかった吉田麻也、冨安健洋のコンビにこれが通用するわけもない。

 セカンドボールさえ拾ってしまえば、すでに疲労していたイランのMF2人を通過するのは造作もなく、日本はあと2、3点追加できそうな流れになっていた。ロスタイム、またもイランのパスミスをきっかけに原口元気が鮮やかなドリブルシュートを突き刺して3-0。

 2-0としてからの日本はロングボールカット、カバーリング、セカンドボールの回収もしくは再度のプレッシャーでイランに選択肢を与えず。落ち着いてイランが負ける形にはめ込んだ。ベルギーに2-0とした後にゲームを殺せなかったのとは違っていた。

 技術的なレベルアップの見られた今大会だが、試合運びは総じて上手くない。その中で、日本は最も状況に合わせたプレーができるチームであり、長年この大会に優勝できていないイランが墓穴を掘った、あるいはそうさせられた試合だった。

(取材・文:西部謙司【UAE】)

【了】

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