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日本代表 6年前

「周りがイキイキする」。大迫勇也が示した絶大な影響力。アジア最高のFWの称号は彼の手に

text by 元川悦子 photo by Getty Images , Shinya Tanaka

素早い攻守の切り替えで守備にも大きく貢献

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大迫の存在感はアズムンを圧倒的に上回った【写真:田中伸弥】

 攻撃面の圧巻パフォーマンスにどうしても目が行きがちだが、今回の大迫は守備面でも光っていた。

 屈強なフィジカルと球際の激しさを併せ持つイランは序盤から彼を徹底マーク。ボールを奪って素早いカウンターを仕掛けようとしていた。が、背番号15は相手の出方にひるむことはなかった。ボールを失った瞬間、いち早く攻守を切り替えてファーストDFとなり、ボールホルダーにプレスをかけに行き、攻めを遅らせ続けたのだ。

 この仕事は簡単そうに見えて難しい。実際、大迫の代役として24日の準々決勝・ベトナム戦で先発した北川航也にはここまでの役割はこなせていなかった。わずか1~2秒のプレーではあるが、その小さな積み重ねが吉田麻也や冨安健洋ら守備陣に時間的余裕を与え、ピンチを減らし、体力を温存させる。

 イランが後半から運動量を低下させ、蹴り込み攻撃しかできなくなったのに対し、日本は最後までフィジカルが落ちなかった。それも大迫らアタッカー陣の献身的守備による部分が少なくなかったのだ。

 このように大迫勇也は多彩な角度からアジア最高峰FWであることを改めて実証した。長友は決戦前に「(サルダル・)アズムンと大迫はアジアで頭1つ抜けている」と評し、今大会に参戦しているFWの双璧であるという認識を示していたが、今回は大迫の存在感がライバルを圧倒的に上回った。

 両エースのパフォーマンスの差が日本とイランの明暗を分けたと言っても過言ではない。それほど大迫の存在価値は大きかったのだ。

 今大会に入ってからの彼は、試合後のミックスゾーンで「お疲れ様です」と一言だけ残して去るのが通例だ。イランを撃破したからといって、そのスタイルを変えることはなかった。報道陣に多くを語らないのは残念だが、ピッチ上では雄弁すぎるほど雄弁に振る舞っている。

 その頼もしい姿を2月1日のファイナルでも示し、日本を8年ぶり5度目のタイトルへと導いてくれれば、森保一監督もチームメートも心強いはずだ。新生ジャパンの命運を左右するのは、右でん部負傷から完全復活したこの男に違いない。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

【了】

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