「絶対的エース」にふさわしい、その姿
「彼は1人の選手として抜けた存在で、周りのプレーヤーも輝かせるから堂安も南野も元気もイキイキしていた。自分だけのプレーじゃなくて、周りと意識で繋がっているんです。ポストに入ってボールを止めていても、普通のFWは自分が収めることに集中するけど、大迫は収めながら意識で繋がっているからみんながイキイキする。そこは大きな強みですね」と長友が賞賛。
さらに柴崎も「ボールがしっかりと前線で収まるから、拓実も律も動き出やすそうだったし、僕も前線に飛び出していくタイミングを取りやすかった。彼が入った影響力は非常に大きいものがあった」と神妙な面持ちで言う。
チーム全体が絶大な「大迫効果」を実感しつつ、余裕を持って戦えたことで、イランという強豪を見事に攻略できた。そこは特筆すべき点と言っていいだろう。
大迫の能力の高さは、周りを生かし、攻めの連動性を向上させることだけにとどまらない。ゴール時の頭抜けた落ち着きも見逃せないポイントだ。後半11分の1点目に続いて、11分後に自らの右足で蹴り込んだPK弾のシーンにはそれがよく表れていた。
この時間帯の日本は、中盤で奮闘していた遠藤航が左太もも裏を痛めてタンカで退場。塩谷司が急きょ投入されるアクシデントが起きていた。イランのカルロス・ケイロス監督も2枚代えに打って出て、試合自体が目まぐるしく動いていた。
そんな最中に与えられたPKに一度はVARが発動され、改めてPK判定となった状況は蹴る方にとっては動揺してもおかしくはない。しかもゴールマウスに立ちはだかるのが、アジア最高守護神の呼び声高きベイランヴァンド。極めて難易度の高い状況に他ならなかった。
にもかかわらず、大迫は表情1つ崩さず、冷静に相手の動きを見極め、ゴール右隅に確実にシュートを蹴り込む大胆さを持ち合わせていた。その堂々たる姿は、「絶対的エース」と言うに相応しいものだった。