倒さなければならない壁、いかに立ち向かうか
遠藤航もイラン戦に向けて「僕らはしっかり僕らのサッカーをするということを第一に考えてプレーしたいと思いますし、チャレンジする気持ちを忘れずにプレーしたい」と述べ、まずは自分たちでボールを握る展開を目指す意思を示していた。
もちろん「難しい時間帯や自分たちのペースで試合を進められない時に、いかに選手たちがピッチ上で臨機応変に考えながらプレーできるかをやっているので、それを継続してやっていければ」と厳しい展開も予想している。それでも「攻撃的に」挑戦する価値は十分にある。
イランとて弱点がないわけではない。攻守において局面で個のクオリティに頼る傾向があり、特に守備では素早くボールを動かされたり、1人が剥がされた時にチャレンジ&カバーが追いつかないままゴールを許してしまうこともある。
攻撃面では個人突破が失敗すると守備への切り替えが若干遅くなる場面も見られた。当然ながら今大会無失点、この4年間の公式戦で敗れたのはロシアワールドカップのスペイン戦のみという事実を踏まえれば、イランからゴールを奪うことが至難の業なのは事実だが、チャンスは必ず転がってくる。
権田は「諦めずに最後までしっかりボールにいくとか、チャレンジの後にしっかりカバーに入るとか、最後まで体格差のある相手にも体を寄せるとか、そういうことをみんなが丁寧にできるのが日本人の良さであり、今の日本代表の選手はそういうことができている」と組織力と献身性への自信を語っていた。
まずはチームとしての一体感をもって、怯まずに戦いを挑むこと。そうすれば日本代表にも勝機はある。吉田が言うように「ヨーロッパの選手もJリーグの選手も自分のキャリアのリスクを背負って来ている」大会の、「決勝のつもりで戦わないといけない」試合がイラン戦。メンタル面でも戦術面でも後ろ向きにならず、これまでと変わらない“助け合い”“支え合い”の精神で、決勝への切符を掴み取りたいところだ。
(取材・文:舩木渉【UAE】)
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