一瞬の判断ミスが命取りに
(3)決勝トーナメント1回戦・オマーン戦 1点目
左後方からのディフェンスラインの裏をめがけたロングボールにオマーンのディフェンスが下がりながら処理しようとするが、胸で抑えたところを右サイドから斜めに飛び出してきたジャハンバフシュが側面からチャージしてバランスを崩させ、ロストしたボールを右足のスライディングシュートでゴールに押し込んだ。
これはシンプルだが常に警戒しておかなければならない形で、中国戦の1点目も似たようなシチュエーションから決まっている。
イランは基本的に中盤の三角形からサイドに展開するが、そこからセンターバックやサイドバックがディフェンスラインのところでボールを受けると、かなり高い頻度で裏を目掛けたボールを蹴ってくる。
前線の選手たちはコンタクトプレーに強く、相手ディフェンスが下がりながらの対応を少しでも誤れば、そこにアスルやジャハンバフシュが突っ込んできてボールを掻っ攫おうとする。
守る側としては非常にナーバスな局面だが、一番良くないのは慌てて処理の精度が下がってしまうことだ。ロングボールを巡ってイランの選手たちに体を入れられないように制しながら、はっきりクリアしていくことが大事だ。そこで下手にボールをコントロールして繋ごうとすると球際を狙ってくる。
余裕がなければはっきりクリアするか、タッチラインの外に出して行きたい。ボールによってはGKが処理した方がいいケースもあるが、ギリギリのところで任せるとボールをワンバウンドさせてしまうなど危なくなるので、こういうシチュエーションをあらかじめ想定しておいて、一瞬の判断ミスが起きないようにシミュレートして起きたい。
(取材・文:河治良幸【UAE】)
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