マスード・ショジャエイ【写真:舩木渉】
イラン代表は28日のAFCアジアカップ2019の準決勝・日本代表戦に向けて不気味な雰囲気を漂わせている。
試合前日に行われる記者会見には、翌日の先発メンバー入りが確実な選手を出席させるよう各チームにアジアサッカー連盟(AFC)から通達がなされている。日本代表はMF遠藤航が、森保一監督とともに登壇した。
だが、イラン代表がカルロス・ケイロス監督とともに登壇させたのは、今大会ほとんど出場機会を得られていないベテランMFマスード・ショジャエイだった。準々決勝の中国戦で出番はなく、ラウンド16の88分から途中出場したのみ。アディショナルタイムを含めてもわずか1試合5分間(公式記録上は2分間)しかプレーしておらず、とても「日本戦で先発確実」とは言えない状況だ。
とはいえA代表キャップ81試合を誇る34歳のMFは「日本という素晴らしいチームと対戦できることを光栄に思う。明日の試合に向けて完璧に準備ができている」と冷静に意気込みを語っていた。出場停止の選手はいるが、ポジションが被っているわけではない。それでも出場する可能性が高いと思わせる、イラン側の“情報戦略”だった可能性がある。
公式練習でも日本側の混乱を誘うような仕掛けがあった。イラン代表の選手たちは背番号入りのトレーニングウェアを着用していたが、その中には「26」や「29」「30」などアジアカップの登録に含まれない番号もあった。
サルダル・アズムンやアシュカン・デヤガー、アリレザ・べイランバンドなど主力選手たちは本来の背番号を着用していたが、ちょっとした混乱を狙っているのかもしれない。
イラン代表のカルロス・ケイロス監督は、自らの名古屋グランパス時代の経験も引き合いに出しながら、日本代表を褒めちぎっていた。突然「コンニチハ」と日本語を発する場面もあった。笑顔を絶やさずサービス精神旺盛で、リスペクトを感じる部分もあるが、何やら怪しい雰囲気もある。果たしてイラン代表の真の狙いはどこにあるのか。28日の18時(日本時間23時)キックオフ予定の大一番に注目だ。
(取材・文:舩木渉【UAE】)
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