ピョンテク獲得に至る背景
中国人オーナーが撤退し、現在のミランは米大手ヘッジファンドのエリオット社の所有として再建が進められている。レオナルドやパオロ・マルディーニといったOBがクラブの要職に就き、アーセナルでCEOを務めたイヴァン・ガジディス氏を招聘するなど動きは積極的だった。
だが一方、UEFAファイナンシャル・フェアプレー(FFP)対応のため緊縮経営が求められる状況は変わらない。そんな中、フロントの間では足並みが整っていない様子も指摘されている。
イグアインの後釜としてジェノアから23歳のポーランド人ストライカー、クシシュトフ・ピョンテクが獲得された背景にも、首脳陣同士の綱引きがあったというのだ。レオナルドは経験を重視し、ズラタン・イブラヒモビッチやセスク・ファブレガスらの獲得を画策していたが、ガジディスは才能のある若手への投資を主張し、押し切った。
もっともイグアイン放出とはいえCFにはクラブ生え抜きのパトリック・クトローネがおり、一方で故障者の影響で層が非常に薄くなっているポジションもある。「補強のプライオリティはそこではなかったのでは」という声もファンの間に存在する。
そんなわけでミランは、なかなか再建に向けて強力な推進力を得ることができずにいる。成績も安定せず、ヨーロッパリーグ(EL)はまさかのグループリーグ敗退。リーグ戦でもユーベはもちろんこと、インテルやナポリにも勝ち点で差をつけられている状況だ。
ただ内容自体は悪くない試合も多く、特に上位対決では粘りの戦い方を見せるのだ。26日に行われたナポリとの一戦でも、その強みは十分発揮されていた。
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