7kmしか「走れなかった」ソン・フンミン
そんな中でフィリピン、キルギスタン、中国は何とか振り切ったものの、決勝トーナメント1回戦でバーレーンに悪戦苦闘した。延長前半終了間際のキム・ジンスのゴールがなかったら、すでに大会から姿を消していたかもしれない。
カタール戦はこの大会で露呈されていたすべての問題が一挙に浮き彫りになった。延長戦までもつれたベスト16の一戦から中2日の強行日程で選手たちはバテバテ。その中で中盤からボール支配率を高めようとするも、パスミスが目立ってなかなか前進できない。
さらにソン・フンミンの低調ぶりは韓国の攻撃陣のギアダウンに直結してしまった。彼は90分間、たった7kmしか走れなかった。わざと走らなかったわけではなく、物理的にできなかった。イングランドでタイトな日程を消化している彼の体力が単純に持たなくなったのだ。
試合後、ソン・フンミンは「こういうことを言いたくないが、コンディション調整に苦労していた。UAEに来てからうまく眠れた日もない。私が責任を取らなければならないという負担もあった」と激白した。エースにのしかかっていたプレッシャーが、結局は韓国全体に襲い掛かってきた。
ベント監督は試合後「戦術自体に問題はなかった。組織的な動きも取っていた」としながらも「効率的な部分が欠けていたという指摘には同意する。将来を考えてこのスタイルを貫きたいと思っているが、もっと発展させなければならない」とコメントした。
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