準決勝で日本と対戦するイラン代表【写真:Getty Images】
日本代表がAFCアジアカップ2019準決勝で戦うイラン代表は、今大会最強チームとの呼び声高い。グループステージから対戦相手を圧倒し、失点はゼロ。守備が堅く、相手に攻撃の形を作らせない。攻撃も鋭い。チャンスと見るや何人もの選手が前線に上がり、決定機を確実にものにする。
チームの雰囲気もいい。現地時間26日の練習では終始笑顔。談笑しながらボール回しをしていた。練習が非公開となった後も聞こえてくるのは選手たちの笑い声ばかり。離脱者もなく万全の状態と言えるだろう。
イラン人記者はこの一戦をどう見ているのか。メヘル通信のメハディ・モルタザフ記者に聞いた。
「日本はいいチームだ。アジアカップで最も優勝回数が多い。テクニックがあり、戦術的にも優れている。ロシアワールドカップでの活躍も知っている。しかし、勝つのはイランだ。カルロス・ケイロス監督が8年かけて作ったチームは完成の域にある。今が最も充実している。ベスト8の中国戦を見ただろう? 中国もいいチームだと思うが、何もさせなかった」
代表チームを長く見る自国記者は、自信というよりは淡々と分析しているようなトーンで話した。よほどチーム状態が仕上がっているのだろう。
イラン代表はここ数年無類の強さを誇っている。ロシアワールドカップ予選は無敗。最終予選でも失点はわずかに2。グループ2位の韓国が10失点、別グループ1位の日本が7失点。圧倒的な数字だ。ここ4年での敗戦はわずかに1。ロシアワールドカップでのスペイン戦のみだ。
近年、日本がイランと対戦したのは2015年10月に一度だけ(親善試合)。1-1と引き分けたが、内容的には圧倒されていた。ワールドカップ予選で当たっていないことは幸か不幸か……。イランの強さをあまり感じることができなかったのは事実だが。
練習取材の帰り道中、別のイラン人記者からこんなことを聞かれた。
「イランはワールドカップ後もチームを継続してどんどん成長した。日本はどうかな?」
(取材・文:植田路生【UAE】)
【了】