本来は生かされる側。それゆえに難しさも
ベトナムは5-4-1の5バックで引いたところにブロックを敷き、ボールを奪ったらシンプルに繋いで推進力のある突破を狙う戦い方をしており、日本はサウジアラビア戦での課題を踏まえて、ボールを保持しながらベトナムの守備を揺さぶるコンセプトを持って試合に入っていた。
立ち上がりに権田修一のロングキックを前線で受け、裏を抜ける堂安律にボールを流そうとしたところを後ろからクェ・ゴック・ハイにチャージされて倒れこんだ北川は冨安健洋からのロングパスから今度は南野拓実を追い越させようとしたが、再びクェ・ゴック・ハイにチェックされて繋がらなかった。
そうした2列目の選手を生かそうとする意識は見られたが、やはり通常は生かされる側ということもあってか、相手を背負うプレーの難しさに加え、ピントを合わせるのに苦しんでいることは確かだ。
前半9分には相手のクリアボールをボランチの遠藤航が折り返し、北川が受けると南野、堂安、さらに左のスペースを原口が動き出した。もっともフリーで良い状態だったのは原口だが、ボールを受ける時点で体の向きが右側であり、原口が背中の裏だったこともあるのか、右の堂安に出すと相手のディフェンスに読まれており、2対3で囲まれボールを奪われた。
そうしたもどかしいシーンが続いた中で、初めて効果的なポストプレーが繋がったのが23分だった。柴崎が中盤でボールをインターセプトすると相手のボランチと5バックの間に位置していた北川に縦パス。北川は少しためを作ってから左サイドを抜ける原口に出した。結局、原口はペナルティエリアの左で潰されたが、日本にとって流れの中での大きなチャンスだった。
ただ、ここで1つ問題だったのが、一度ポストに入った直後の動き出しだ。原口がボールを受けて縦に仕掛けた時に北川が迫力を持ってインサイドを飛び出せていれば、ベトナムのディフェンスを分散させることができた。これまでもプレーの連続性という意味で研ぎ澄まされていない部分はあり、そこはもどかしい要素だ。