「内容で叩かれても勝てばいい」
「サコ君とは合わせられる自信があります。サコ君はしっかり収められるし、パスもはたけるし、自分で決めることもできる。収めてくれた周りは空いていると思うので、とにかくそこを狙っていければいいかな」と彼は前向きにコメントしている。実際、25日のトレーニングでも、2人がシュート練習でコンビを組んでフィニッシュに持ち込むシーンがあり、好連係を見せていた。それを実際のイラン戦のピッチで出せれば、日本攻撃陣に新たなオプションがもたらされるはずだ。
もちろん堂安律(フローニンゲン)や南野拓実(ザルツブルク)、原口元気(ハノーファー)らとも連係を合わせていくことも大切だ。ベトナム戦の後半は堂安を軸に何人かが連動するシーンがようやく出始めたが、イラン戦ではもっと早い段階からアタッカー陣が息を合わせ、近い距離感で相手を揺さぶるような攻めを繰り出していく必要がある。
「イランとはフィジカル対決になる」と武藤も自戒を込めて話していたが、個と個のぶつかり合いではどうしても日本が不利な状況に陥りがちだ。けれども、彼自身はプレミアリーグのインテンシティーで戦えると前向きに捉えている。実際、3年前のアウェー戦でも、柴崎岳(ヘタフェ)らが相手との当たりに苦しむ中、武藤だけは全く動じずに強さとタフさを示し、ゴールを奪っていた。森保監督もそれだけの武器を備えた男を早い段階から使うべきだ。
背番号13がそのチャンスを生かして日本をファイナルへと導くゴールを奪えれば、それこそ武藤は「イランキラー」として名を馳せることになる。それを現実にするために、残り2日間の準備期間を最大限生かして、心身共にベストな状態を作り上げてほしい。
「サウジも素晴らしかったと思いますけど、イランはそれ以上。だからこそ全てを出し尽くさない限り、勝てない相手だと思う。どんな内容でも、内容で叩かれても勝てばいいと思うので、しっかり勝ちます」と堂々と勝利宣言した男の有言実行を期待したい。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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