堂安のゴールが決勝点に
「ベトナムのことを甘く見ている人がいるんじゃないかと感じてますけど、そんなことを考えていたら足元をすくわれる。明日は苦戦しますよ。間違いなく簡単に勝てない試合になると思います」
長友佑都がこう予言した通り、24日のAFCアジアカップ・2019準々決勝・ベトナム戦は想像以上に苦しいゲームとなった。
ボール支配率こそ7割と21日のラウンド16・サウジアラビア戦から大きく改善したものの、日本は序盤から5-4-1の強固な守備ブロックを敷いてきたベトナムを相手に攻めあぐねた。
前半はパスコースを見つけられず、2~3本のつなぎであっさりとボールを失う。期待された堂安律と南野拓実の両若手アタッカーも推進力と突破力を出し切れず、鋭いカウンターの餌食になっていた。柴崎岳の左CKを吉田麻也がヘッドで沈めた24分の先制弾もこのステージから導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)によって取り消されてしまう。サウジ戦から中2日という過密日程も災いし、前半45分間の日本には明らかに閉塞感が漂っていた。
「これを続けたら、相手が疲れてきて、空いてくる。森保(一監督)さんのハーフタイムの指示も『空いてきたら仕留めろ』ということだった」と原口元気が言うように、切り替えて後半に挑んだ日本。その狙いが結実したのが、開始8分だった。
北川航也の落としから遠藤航が縦パスを出し、中央寄りの位置で受けた原口が右から斜めにゴール前に走り込んだ堂安に絶妙のラストパスを通した。ここまで何度となく仕掛けては阻まれてきた背番号21は、ひるむことなくDF2人の間をすり抜ける。そこで内側にいた1人に足を引っかけられ、ペナルティエリア内で倒された。
その瞬間は主審も流したが、2分後にVAR採用を判断。映像確認をした結果、PKが与えられた。その千載一遇のチャンスに20歳の若武者は飛びつき、ゴール右隅に鋭いシュートをお見舞いした。