対イランと気になったVARの運用面
次は今大会最強のイランとの準決勝になる。堅守速攻型のほうが持ち味を出しやすい今大会の日本にとって、イラン戦は噛み合った試合になると思う。ただし、サウジアラビア戦のように引き込みすぎるのは危険である。イランはサイドからのハイクロスを得意としていて、セカンドボールを拾ってのミドルシュートにも威力があるからだ。
前進守備も強力。理想をいえば、日本はボールを保持して押し込んでしまったほうがいい相手である。ところが、ポゼッション攻撃に進展がない現状なので、それができても得点はさほど期待できそうもないのが辛い。大迫の完全復帰、ベトナム戦でようやく出てきた堂安と南野のコンビネーションを連発させること。そのあたりが期待になるが、どのみち厳しい試合にはなりそうだ。
ところで、これは日本のプレーとは関係ないのだが、準々決勝から採用されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)には大きな疑問を持った。判定の是非ではなく運用面だ。堂安のPKをとったシーンで、最初にプレーを流してからVAR確認するまでに1分間あまり試合が流れていた。
アウト・オブ・プレーにならないかぎりVARの確認はできないのだが1分間は長すぎる。その間にベトナムの得点が決まっていたら、あるいはどちらかにレッドカード、イエローカードが出た場合、現行の運用ではおそらく無効とされると思う。時間を遡ってPKからのリスタートだ。それはそれで揉めるだろうが、主審はVARを確認する前にベトナムの交代を認めていた。
交代を認めているなら、1分間に何か起こった場合でも認めなければならないのではないか。判定精度は期待できるとしても、運用が詰められていないのが懸念される。
(取材・文:西部謙司【UAE】)
【了】