柴崎が輝かない日本は頂点までたどり着けない
今回のアジアカップ開幕前、柴崎は「優勝以外は失敗だと思う」と高い目標設定を披露した。そのターゲットまでベトナム戦を含めて3試合。その全てでフル稼働し、高いパフォーマンスを維持しつつ戦い抜いてこそ、長谷部の領域に達することができる。
ロシアでは「個人的にはコンディションの部分がちょっとうまくいかなかった」と反省した通り、試合を重ねるごとに運動量が減り、スタミナ切れを起こした。スタメン4試合目のラウンド16・ベルギー戦(ロストフ)の後半では消える場面が増え、山口蛍(神戸)と交代。最終的に日本はラスト14秒の高速カウンターで逆転負けを喫したが、その瞬間をベンチで目の当たりにした背番号7は悔恨の念でいっぱいだったことだろう。
その後の半年間もヘタフェでほとんど試合出場機会に恵まれていない。これだけの連戦を強いられるのはロシア以来ではないだろうか。森保監督も今回はウズベキスタン戦で完全休養を与え、柴崎の体力を温存しながら戦おうとしていたが、青山の負傷離脱によってシナリオが大きく狂った。
そんな今だからこそ、背番号7は苦境に直面してもタフに戦えるところを証明する必要がある。超過密スケジュールの連戦でも、走力に優れた東南アジアの雄に走り負けないくらいの逞しさを示せれば、彼自身も一皮むけるに違いない。
ベトナム戦でコンビを組むであろう塩谷か遠藤とベストバランスを構築し、ベトナムを制圧するような中盤を形成してくれれば、日本は勝利に近づく。4年前の準々決勝・UAE戦(シドニー)で挙げた同点弾を彷彿させるようなゴールを奪ってくれたら、なお理想的だ。いずれにしても、背番号7が輝かない日本は頂点までたどり着けない。この男の一挙手一投足が森保ジャパンの命運を左右するといってもいい。ベトナム戦は柴崎岳の真価が問われる一戦になる。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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