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アジア 6年前

アジアカップ準々決勝の相手、ベトナムはどんなチームなのか? 熟知する現地記者が徹底分析

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images

日本代表を相手にどのような戦いを見せるか?

 ここまでの中東勢との4連戦を振り返ってみると、格上イランを除けば、ベトナムのサッカーは十分に通用したといえる。フィジカルで劣るため、ロングボールを放り込まれたり、ゴール前で混戦になった際に競り負けてピンチに陥るのが常だったが、ヨルダン戦では守備ラインを高く保つことでカウンター対策も出来ていた。

 攻撃の時間帯には小気味いいパス回しで相手を翻弄し、グエン・コン・フオンらスピードと突破力に秀でた前線の選手の仕掛けから決定機を創出した。開催国の一つとして初出場した2007年大会(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム共同開催)以来となるグループリーグ突破、そして、ベスト8進出は、ベトナムにとって上々の出来といえよう。

 勝てば初のベスト4進出が決まる準々決勝日本戦。決勝トーナメント1回戦と同じ会場で試合ができ、中3日空いているベトナムがスタメンを大きくいじってくるとは考えにくい。一方、会場の移動もあり、中2日しかない日本は準決勝以降のことを考えて、スタメンを変更してくる可能性がある。

 パク監督は「日本との一戦はベトナムにとって大きな試練だが、同時に大きな楽しみでもある。日本の選手の多くはヨーロッパでプレーしており、彼らには正確なパスワークと高い守備力がある。先制点を与えないことが重要だろう。アジア大会ではベトナムが日本に勝ったが、今回はA代表の大会であり、全く別物だ」と語った。

 これまでのように日本が東南アジアを格下と甘く見てくれるなら、教訓という名の手痛いしっぺ返しをお見舞いする準備がベトナムにはある。しかし、アジア大会の際、初戦の入り方という部分で慎重になりすぎたあまり、ベトナムに苦汁を飲まされた日本が同じ轍を踏むことはないだろう。

 現実的に見て、ボールを握られる時間帯が長くなるのは間違いない。ベトナムが少ないチャンスの中で勝利を手繰り寄せるには、いかに接戦に持ち込むかがカギになりそうだ。選手やサポーターから全幅の信頼を寄せられているパク監督の采配にも期待したい。

(文:宇佐美淳【ベトナム】)

【了】

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