レキップの迷走記事が見受けられる昨今
たとえば昨年、ネイマールが入団して間もない9月のリヨン戦で、ネイマールとカバーニがPKをどちらが蹴るかでもめた一件があったが、レキップ紙はその後もしつこく『ネイマールVSカバーニ』説をあおり、『ネイマールはエメリ監督と不和』といったネイマールネガティブキャンペーンを展開した。
「最近レキップちょっと暴走してないか?」という声はプレスルームでも囁かれていて、多くの報道陣が見ていた公開練習の翌日、『ネイマールが、歩み寄るエメリ監督に肩すかしをくらわし完全無視。2人の間の亀裂は決定的』といった内容の記事が出たときは、「そんなシーンあったか?」「だいいち、あんなに遠目じゃ無視したかまでわからんぞ」と話題にもなった。
ネイマールとエムバペのコンビが好調な今季は『カバーニ蚊帳の外』路線を突っ走っている。『好調な2人の影で出番が激減し、カバーニはストレスをためている』と…。
昨年10月、PSGが6−1で快勝したCLの対レッドスター戦のときも、レキップ紙はレッドスターの幹部が5点差で敗れることに大金を賭けていた、と報じた。
莫大な情報網と取材力を誇るレキップ紙だからこそできた核心に迫った記事がある一方で、迷走した記事も見られる昨今。報道の自由は守られるべきものだが、どこかで出た記事が一瞬で世界中を駆け巡るいまの世の中、憶測レベルの話は個人のSNSでつぶやくに止め、影響力の大きいメディアで書く前には、慎重な裏付けが必要だ…と、自分も書き手のはしくれとして肝に命じるのだが、それにしてもPSGの対応もセコい。
ビッグクラブを目指すなら、もうちょっとドーンとかまえていればいいものを…。
(文:小川由紀子【フランス】)
【了】