レキップ紙が持つ影響力。一方クラブは敏感に
レキップ紙は、ツール・ド・フランスやダカールラリー等の国際的なスポーツイベントも主催する、フランススポーツ界の屋台骨、アモリーグループの傘下であり、記者やカメラマンの数も多いし、各競技にエキスパートを揃えている。情報網も別次元。取材力や資金力もある。レキップ紙だからできた、というインタビューも多い。
ネットニュースが台頭してきて昔よりは読者の好みも多様化し、以前の大判からタブロイド判に縮小されたりもしているが、フランスでは「スポーツニュースはレキップ紙で」という人はまだまだ多い。影響力も大きく、レキップ紙に書かれていることはすべて事実であると信じる人も大勢いる。
ゆえにレキップ紙が報じる内容にはクラブ側も敏感になるわけだが、PSGが指摘した12月7日の記事は、憶測には違いないが、正直なところそこまで騒ぐか? という内容だった。
PSGは、2017年夏、エムバペとネイマールの獲得に4億ユーロ(約497億円)を超える額を支出した。一度はUEFAのFFP審査委員会からOKの通達が出たものの、その後再審査となり、違反が認められた場合は、最悪の場合、チャンピオンズリーグ(CL)出場権剥奪もありうる。
ビッグイヤー獲得を目標として大金を投じているオーナー、カタール勢にとって、もしもそんなことになったら本末転倒である…という背景を受けての、『苦渋の“荷下し”が必要か』という内容で、『カタール勢は、世界的に人気のネイマールを残す選択をすることになるのでは? エムバペを口説けるのはレアル・マドリーだけか?』といった、「まあそういうこともなくはないか」と読み流せる記事だった。
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