冨安の活躍が若手選手の刺激に
冨安の活躍は森保ジャパンの若い世代にも大きな刺激を与えるはずだ。ロシア後の新体制移行後、注目を集めてきたのは堂安、南野、中島翔哉の3人だった。
彼らが織りなす機動力と推進力溢れる攻撃に魅了された人々も少なくなかった。が、アジアカップ直前に中島が負傷離脱した影響があったのか、堂安と南野は期待されたほどの仕事ができていない。
堂安はトルクメニスタン戦で1点を奪っているからまだいいが、南野の方はオマーン戦で4本の決定機を逃すなどゴールが遠い。サウジ戦でも献身的な守備と走りを見せたが、得点につながりそうな場面でミスが目立ち、その苛立ちからか初めて取材ゾーンで対応せずにスタジアムを引き上げた。
そんな彼らは冨安の仕事ぶりを見て「自分たちも明確な結果を残さなければいけない」と躍起になるはずだ。
頂点を目指す日本にはまだ3つの重要なゲームが残されている。24日の準々決勝・ベトナム戦は移動を伴う中2日の強行日程。右ひざ負傷でチームを離れた青山敏弘と出場停止の武藤を欠いた状態で戦わなければいけない。
そこを勝ち上がれば、イランや韓国らとの真っ向勝負が控えている。その強敵に勝ち切るためには、さらなる守備の安定感が必要不可欠。冨安は重要な役割を担い続けるに違いない。
20歳の頭脳派DFが最終ラインを確実にコントロールし、前線でも堂安らフレッシュな面々が爆発する。この日の背番号16の奮闘がチームをそういった前向きな方向に導いてくれれば理想的である。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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