ペースを変えられず、カウンターからの加点もなし
得点にはならなかったが、日本のカウンターアタックは鋭く、躊躇なく攻めきる姿勢がみえた。チャンスのときにはチャンスらしいプレーを選択していた。相手にボールを持たせる前提のゲームなので、最短でゴールを目指すプレーは正しい。こういう試合でモノをいうことの多いセットプレーから点をとれたのも大きかった。
ただ、後半に関してはもう少しキープしてゲームをスローダウンさせ、いったん相手陣内へ押し込む展開が必要だった。サウジアラビアの守備が手薄なためにカウンターで追加点を狙えそうな状況がほとんどだったのだが、それならば追加点をとらなくてはいけない。ゴール前での判断が悪くてとりきれなかったのは反省点として残る。しかし、それ以上にペースを変えられないのはベルギー戦から進歩がないということ。
後半22分、南野がカウンターよりもキープを選択してペースを変えにかかったとき、吉田がすぐに縦へのロングパスを選択して相手ボールにしてしまった。せっかく1人がサインを送ってもチームとして共有できていなかった。
今大会を勝ち上がるためには大正解の試合だったが、ロシアワールドカップからの進歩は感じられない内容でもあった。
(取材・文:西部謙司【UAE】)
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