日本代表の南野拓実【写真:Getty Images】
【日本 1-0 サウジアラビア AFCアジアカップ2019・決勝トーナメント1回戦】
日本代表は21日、AFCアジアカップ2019決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦し、1-0で勝利した。この結果により、森保ジャパンはベスト8へ駒を進めている。
20分のDF冨安健洋のゴールを守り切り勝利した日本代表だが、後半はかなり押し込まれた。サウジアラビアに対し15本ものシュートを浴び、いつ同点に追いつかれてもおかしくはなかった。それでも守備陣の奮闘もあって、見事耐え抜く。
支配率で下回り、押し込まれた展開でも勝利を挙げたことは森保ジャパンとしてまた一つ、価値のあるものとなったのではないだろうか。
一方で、課題を挙げるとすれば攻撃陣だ。この日は何度かチャンスを作りながらも得点はセットプレーからの1点のみ。追加点を取れれば、多少なりとも楽な展開に持ち込むことは可能だったはずだ。
大会を通して最大の焦点となっているのは、MF南野拓実のパフォーマンスだろう。
昨年の親善試合でウルグアイ戦の2ゴールを含めて5試合で4得点を挙げて日本代表の新たなエースとして期待される存在となったが、今大会ではいまだノーゴール。この日もゴールネットを揺らすことができず、状態を不安視する声は試合を重ねるごとに高まっている。
ただ、その親善試合でも森保ジャパンの攻撃は南野を筆頭に中島翔哉、堂安律、大迫勇也の個人技による打開という展開が少なくなかった。しかし、アジアカップはタイトルがかかったビッグトーナメント。アジアの国々といえど、日本に対して激しくマークしてくる相手にはそう簡単にはいかない。
「個人の成績よりも全体」として、森保ジャパンの攻撃陣は明確な“形”を示すことができずに課題を抱えている。南野が不発に陥っていることで『南野が決めていれば』『不調の南野』『決定力不足』と言った声が噴出しているが、個人のパフォーマンスが最大の問題というわけではない。
そして、これは支配率とは無関係だ。支配率で大きく劣っていても、カウンターで明確な形を持っていれば、相手にとって大きな脅威を与えることができる。実際、プレーメイカーとなるはずのMF柴崎岳から相手DFラインを切り裂くようなパスは一度も出てきていない。
サウジアラビア戦は守備の奮闘によって勝利を挙げた。これは、これまでの日本代表では見られないことであり、大きな収穫と言える。それでも、アジアの覇権奪回のためには攻撃面の課題を選手個人への批判でかわすのではなく、チームとして解決していく必要があるだろう。
【了】