まだまだいる要注意人物
中盤のパスワークを基調とした攻撃にあって高い位置でアクセントを付ける選手であり、裏への飛び出しから斜めにディフェンスを破るドリブルなどから抜群のシュート力を発揮してくる。
その前の起点を限定できるほどアル・ムワッラドが高い位置でボールを受けられる機会を減らせることは間違いないが、一瞬でも隙を与えると中盤はもちろんサイドバックやセンターバックからも縦パスを引き出して裏に抜けようとしてくる。
日本のセンターバックはある程度、空中戦の強さやデュエルで能力を発揮する選手が揃い、間、間を突いてくる小兵のアタッカーは相性が良いとは言えない。その中で冨安健洋はチェックが素早く188cmの上背のわりに小回りも効くので、アル・ムワッラドを抑えるキーマンだ。
もう1人の要注意選手が右サイドバックのアル・ブレイクだ。左サイドで攻撃の一翼を担っていたアル・シャハラニが大会中に離脱しており、代わりに長身のアル・シャムラニがスタメンに入っているが、右サイドのアル・ブレイクの重要度が高まった。組み立てをサイドからサポートしながら、アウトサイドの高い位置とインサイドのポジショニングを使い分け、右ウイングのハタンをサポートする。
サウジアラビアはアウトサイドに起点を作っても結局は中央でワンツーやスルーパス、ミドルシュートに持ち込むケースが多いチームだが、アル・ブレイクがタイミングよく右サイドの高い位置でボールを受けた直後のグラウンダーのクロスボールには注意したい。
守備での対応が大事なのはもちろんだが、対面するのは原口元気や長友佑都といった選手なので、日本が攻撃でサウジアラビアに脅威を与えることが、逆にサウジアラビアの攻撃でアル・ブレイクを目立たせないための大事な要素だ。
(取材・文:河治良幸【UAE】)
【了】