重要なのは堅守。長友が守備陣を引っ張る
そのうえで、1トップのスピードモンスター、ファハド・アル・ムワラッドの裏への飛び出しを抑え込めれば、オマーン戦のような無失点ゲームに持ち込める。「失点しなければ負けない」と酒井宏樹も言うように、まずは徹底した堅守を貫くこと。長友はそのけん引役を託されている。
パスサッカーを志向するサウジアラビアはボール支配を重点に置いてくる。となれば、長友が攻撃参加できるチャンスは少ないかもしれないが、一瞬の隙を見て高い位置を取ることも求められる。原口と長友の左サイドのホットラインは今大会に入ってから完全に機能しているとはい言えない部分がある。
トルクメニスタン戦の後半などは原口が中央に絞り、長友が外を抜けて敵陣深くまでえぐってマイナス方向にクロスを入れるようなシーンも見られたが、同様の連係を磨いていくこともサウジアラビア戦の大きなテーマになる。
状況次第では原口に代わって乾貴士とのロシアワールドカップ以来となるコンビ再結成もあり得る。ただ、この2人も昨年7月2日のベルギー戦から一度も実戦で一緒にプレーしていないため、感覚がすぐに戻ってくるかは微妙なところ。
ところが長友は「あいつが出た時の関係というのは分かり合っている。試合を見ていても『貴士が持ってる時に俺だったらこうするな』とかいろいろなイメージが湧いた」と自信をのぞかせていただけに、破壊力ある攻撃スタイルを構築してくれれば理想的な展開になる。
いずれにしても、今大会の命運を分ける決戦でメンタル的にも戦術的にも新生・日本代表を引っ張るのは長友に他ならない。世界を股にかけて活躍してきた日本屈指の左サイドバックの底力を遺憾なく発揮し、サウジアラビアを粉砕したいところだ。
(取材・文:元川悦子【UAE】)
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